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「やーーい、デブまる子」
「相撲部屋はあっちだぞー」
お祖父ちゃんが経営している和菓子屋の軒先で、おやつにもらったみたらし団子を両手に持っていたら、クラスメートが大声でからかってきた。
小さい頃から、太っていた私はずっとこうやってからかわれてきた。笑って返してはいるけれど、心の中は傷だらけだ。いつか、この心の傷は私を、私のこの大きな体を埋め尽くしていくのだろう。
「まゆ子の大きな体には、他の人の二倍も三倍も幸せが詰まっているんだよ。だから、まゆ子は自分だけじゃなく、周りにも幸せを分けてあげられる存在になるんだよ」
そう言って、お祖父ちゃんは微笑んだ。
ブーブーブー
おっ、裕奈からの怒りの電話かな。
「もしもし、まる子。どういう事」
正解、激怒の裕奈だ。でも、大丈夫。そこまでいけば、あと少し。裕奈なら幸せに辿り着けるよ。
知らない人が私を見たら、デブだと思うだろう。からかったり、笑ったりする人もいるかもしれない。
知ったことか!
私のこの大きな体には、他の人の二倍も三倍も幸せが詰まっているんだ。私はこの体が大好きだ。
だから、
二人を幸せに導くことなんて朝飯前よ。
さあ、幸せになりたい人たち、まる子にお任せあれ。
『まる子にお任せ』
【了】
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