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「まる子でいいよ。太ってるから、まゆ子じゃなくて、まる子」
「じゃあ、まる子さん。お願いです。裕奈さんの足の型を取ってもらえませんか」
「足の型?そんなもん、石膏入れたバケツに足突っ込むだけじゃないのか」
木村君がバッグをごそごそして、何やら包帯のような物を取り出した。
「これはギプス包帯っていうんだ。ぬるま湯に浸けてから、型取りをしたいところに巻いていって、乾くとギプスみたくなるんだ」
へーっ、そうなんだ。全く知らなかった。
「凧糸を一緒に巻いていって、凧糸を引いて、スペースを作りながらカッターで削っていくんだ。で、これを使って型取りをしてほしいんだ」
それを私にやれと……
カッター使って、乾いたギプスを削り切るなんて、かなり怖いんだけれど。
「ダメかな」
俯きながら、不安そうに木村君が訊いてきた。
あー、もう、そんな顔をしないでくれ。
「わかった。やるよ。でも、私はやった事がないから、練習させてね」
そして私は、その日から三日間、木村君とギプス包帯を使っての足の型取りの練習をしまくった。
まあ、その結果、木村君の足が切り傷だらけになったのは裕奈には内緒にしておこう。
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