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足の型取りが済めば、とりあえずの装具は二週間もあればできるそうだ。完全に完成させるには、本人が履いた状態で調整する必要があるらしい。
「渡すのは自分でやんなよ」
「えっ」
えっ、じゃねぇよ。うーん、まあでも、この気弱な木村君と闇属性裕奈の二人だけじゃ渡すきっかけもできないな。
「よし、分かった。このまる子がまたまた一肌脱いであげよう」
こうして私は、裕奈と木村君を二人きりで会わせる機会を作る事になった。そして、私が思い付いた作戦が、
「私たち青春を謳歌できていない。何が足りないか分かる?彼氏よ、彼氏。合コンよ、合コンに行くわよ」
そう。合コン。
「まる子、私、男子と十年話してない。無理だよ」
「何言ってんの裕奈。あんた、顔可愛いんだから大丈夫よ。私はこの破壊力抜群の胸をアピールしていくわ」
そう言って、胸を持ち上げて裕奈を見ると、なんとも言えない表情で私を見ていた。
「ねぇ、まる子は太っている事、コンプレックスじゃないの?」
「はぁ? このダイナマイトな胸だって、ちょっとポッチャリのお腹だって、私の一面でしかないんだから、そんなものだけで人を評価する奴など地獄に落ちればいい」
そう裕奈に答えたものの、内心ちょっとドキッとした。裕奈には言っていないが、私にも実は心に傷がある。でも、ある人の一言で今はその傷を意識する事はほとんどないけれど。
そんな事はおくびにも出さず、実技講義の練習と称して、ギプスで足型を取ることに成功した。裕奈の足が無傷でいられたのは、木村君の足を傷だらけになるまで練習させてもらった賜だ。
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