マモル

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『おはようマモル。調子はどう?』 「おはようママ。今朝も元気だよ」  朝食を食べていると、ダイニングの画面にママが現れた。 『随分遅い朝食ね。どういうことかしら?』 「ちょっと寝坊して……」 『またゲーム?』  ママの顔が険しくなる。僕は慌てて言い訳する。 「違うよママ! 宿題が難しくて、サトルとトモヤに聞いたら……」 『そのままゲームを始めちゃったと?』 「ごめんなさい」  ママが呆れたように息を吐く。 『もういいわ。でもね、規則正しい生活は、とても大切なのよ』 「はい」 『ウィルスや食事に気を付けても、生活習慣の乱れからも体調不良を招くの。特に睡眠は、絶対に減らしてはダメ』 『おはようマモル』  ママの小言が長引きそうでうんざりしていると、突然、画面が半分に分かれ、パパが姿を見せた。 「おはようパパ」 『まだ食べているのか? 授業に遅れるぞ』 「チーズ味は苦手なんだ。チョコレート味なら、早く食べ終わるのに」 『ダメよ。いろんな味を食べないと、味覚が鈍くなるわ』  栄養士のママは、栄養バーの味にうるさい。みんな大好き甘い味からみんな嫌いな辛い味まで、色んな味を作る。どんな味でも栄養が同じなら、全部チョコレートでいいって言ってるのに、全然聞いてくれない。 『マモル。起きる時間がいつもより10分遅いな。どうしたんだ?』 「ちょっとね……」  医者のパパは、頻繁に僕のバイタル数値や睡眠時間を確認するから、ある意味ママよりやっかいだ。 『数値に異常は無さそうだが……マモル! 後5分で授業が始まるぞ!』 「ほんとだ! それじゃあね! ママ、パパ、お仕事頑張って!」  僕は残りの栄養バーを口に入れ、ダイニングを飛び出した。
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