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「ねえ、昨日の『オンライン・メゾン』の特番、見た?」
「見た見た。結構不気味だったよね」
「モニター募集したってことはさ、新しいサービスでも始めるのかな。だって『オンライン・メゾン』って結構利用してる人いるし、いまさらモニターって」
「確かに、だから不気味に思ったのかな。あの三人が今どうなってるか教えてくれなかったし。もしかして、本当に死んで……」
「縁起でもないこと言わないでよ。今まで利用した人は、記憶はないけど全員戻ってきてるんでしょ?ないない」
「うーん、まあそうだけどさ。もし戻ってこれなかったら、殺人、ってことだもんね。一発アウトだわ」
電車の中で、大学生らしき女性2人の会話が聞こえてくる。巷で話題の、『オンライン・メゾン』についてだ。俺はまさに今から、その『オンライン・メゾン』の施設に向かうところである。
二日前、『オンライン・メゾン』のサイトを覗いた際、隠しページがあることに気づいた。おそらく、大学生が喋っていた新サービスのページで、ミスなのか、あえてなのかは分からない。隠しページには、通常の利用料より格安のプランが記載されており、こんな一言が添えられていた。
『人生に疲れた方へ、最期に理想の暮らしを手に入れませんか?』
最期に、というワードに引っかかった。その新しいサービスが、もし俺の想像通りなら、とても許し難い。特番では絶対に明かされないだろうと踏んで、今日この目で確かめるために、利用者のフリをして乗り込むつもりだ。
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