(8) ついに真実の愛!?

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(8) ついに真実の愛!?

泣きそうな顔の藤崎。 信じられない、と言わんばかりの表情で鬼塚を見る。 男同士のセックス。 しかも、それが愛する鬼塚と一ノ瀬なのだ。 そんな絶望に打ちひしがれる藤崎を見て、鬼塚は、さすがにこれはまずい、と固まった。 この場を何とか切り抜けなくてはいけない。 鬼塚は、冷や汗をかきながら、全身全霊で頭を働かせた。 そして、妙案を思いつく。 鬼塚は、内心ドキドキするも、冷静な態度で言った。 「いいですか、会長。一ノ瀬は、女の子になりたいんです。知っていましたか?」 「……う、うん」 藤崎は、条件反射でそう答えるもまだ放心状態のまま。 鬼塚は続ける。 「それで、一ノ瀬は俺に頼み込んできたんですよ。『自分を女にして欲しいって』」 鬼塚は、あえて一ノ瀬とのセックスを続けた。 一ノ瀬の喘ぎ声とパンパンとなる音がBGMのように流れる。 鬼塚は、はぁあ、とわざとらしく深いため息をついた。 「俺だって、本当は嫌なんですよ。男とセックスするのなんて……でも、頼まれたらしょうが無いんです。一ノ瀬はどうしても女になりたいって言うから。俺の甘さかな……」 そこまで言って、鬼塚はチラッと藤崎の顔を見た。 藤崎は目を大きく見開き、驚いた表情をしている。 しかし、徐々に理解を示すように、独り言を言い始めた。 「でも……そっか……ユタカ君は……女の子に……そうだよね」 (しめしめ。食いついてきたぞ……ふふふ、丸め込まれているともしらないで……) 藤崎は、頭の整理が付いたのか、鬼塚に問いかけた。 「じゃあ、鬼塚君は、ユタカ君の事、その、好きじゃ無いの?」 「そんなの当たり前ですよ」 鬼塚は即答した。 「そうなんだ……お願いされているから……ただそれだけって事なんだ……」 藤崎は自分に言い聞かせるようにそう呟いた。 鬼塚は大きくうなづいて同意の念を表す。 実際、『好きじゃない』のは確か。 興味があるのは、藤崎のアナル唯一つ。 (こっちもちょろいもんだぜ、ひひひ……そうだ。いい事、思いついたぞ!) 鬼塚は、さっそくそれを藤崎に提案した。 「あっ、そうだ。会長、俺が一ノ瀬をしっかりとメス化させるまでそこで見ていて貰えますか。俺、ちゃんと一ノ瀬をいかせられるか自信が無くて……」 白々しいセリフをさらっと言ってのける。 さすが鬼塚である。 「……えっと。でも……」 藤崎は、二人のむつみ合いに目を逸らしていたのだが、鬼塚にそう言われたら見ざるを得ない。 モジモジしながら、視線を移動した。 鬼塚は、そんな藤崎を見て満足気に腰を振る。 (ふふふ、どうだ? 人のセックスを見せられる屈辱。ああ、堪らねぇ、いいぞ!) 藤崎は、そのまま大人しくソファへ腰掛けた。 悦に浸りながらピストンを続ける鬼塚。 藤崎が目を背けたくても、背けられない地獄を味わっているかと思うと、ゾクゾクして堪らない。 (さぁ、会長。居ても立っても居られないだろ? 逃げ出したいだろ? でも、そうさせない。何という鬼畜アイデア。俺って天才か? ふははは……えっ!?) さて、会長はどんな苦痛の顔をしているのか、とウキウキしながら藤崎を見て言葉を失った。 なんと、藤崎はオナニーを始めていたのだ。 捲られたスカート。 ずらしたショーツの脇から、勃起した小さいペニスが顔を覗かせる。 それを、握りしめて、しゅっ、しゅっ、としごいているのだ。 (えええ!? なぜオナニー!?) よく見れば、ブラウスの前はいつの間にかはだけ、ずれたブラの隙間からピンクの可愛い乳首が見え隠れしている。 それを自ら嬲るようにいじる藤崎。 顔を赤らめて、はぁ、はぁ、と熱い息を吐きながら、快楽に浸る顔。 (うあああ、可愛いすぎっ!) 鬼塚のペニスは、一段階おっきくなった。 ギシギシと一ノ瀬のアナルが拡張される。 「うっ、はぁあああん……」 一ノ瀬は、声を上げなながら体をぎゅんとしならせた。 そして、白目をむきながら、ビクビクビク小刻みに痙攣させた。 もの凄い圧迫感。 なにか壊れていく感覚。 一ノ瀬は理解した。 それは、まさに、自分の中にある『男』が壊されている、という感じ。 絶対的な男の力によって、体が否応なくメス化されていく。 そして、戸惑いからの気付き。 こんなにも愛してくれる鬼塚に、新たな感情が芽生える。 それはまさしく恋である。 (あたしをこんなにも愛してくれる。女として生まれ変わったあたしにこんなにも愛情を注いでくれる。鬼塚先輩、あたし、好きです。大好きです……) 一方、鬼塚は、藤崎の姿を横目で見るのだが、その姿に釘付けになっていた。 ペニスをしごいていた藤崎だったのだが、ついにM字開脚でアナルをまさぐり始めたのだ。 そして、いやらしく自分の指をちゅっぱっと舐めたかと思うと、すっとお尻の穴に挿入。 (ぶっ! アナルに指を突っ込んだだと!? うはっ! 最高にエロい。やべぇ! 萌えるっ!) 突然始めた藤崎のアナニーに、鬼塚は一ノ瀬とのセックスどころではなくなっていた。 しかし、そんなサプライズにも鬼塚は冷静に分析を始める。 (おかしい、俺は会長に屈辱を与えているはずだ。なのに、なぜオナニーを始めた?) そして、答えに辿り着く。 (分かったぞ、会長は、オナニーを俺に見せつける事で俺を誘惑しようとしている。ほら、ボクを抱きたいでしょ? こっちの方がいいよって! クソ、なんてビッチな考え方を……) 鬼塚は、そんな誘惑になんか負けるものか! と思うだが、そもそも藤崎にくびったけの鬼塚である。 (はぁ、はぁ、それにしても、可愛い過ぎだろ? うっ、ううう………会長を抱きたい! 抱きてぇ……) さて、オナニーに夢中な藤崎の方だが鬼塚の深読みもいい所。 藤崎は、大好きな鬼塚のセックスを見せつけられ、当初は猛烈な嫉妬心で飛び出したい気持ちだった。 それが、実は、女になりたいという一ノ瀬の夢を叶えるべく、鬼塚は手伝っているだけなのだと知った。 なんという男気。 藤崎は、その優しくて、思いやりのある鬼塚に胸がキュンキュンし、心を打たれていた。 するとどうだろうか。 鬼塚のセックスを見るうちに、いつしかAVを観ている感覚に襲われる。 要は、一ノ瀬に感情移入してしまったのだ。 鬼塚の激しいピストンによって、白目でイキ顔を晒す一ノ瀬。 半開きの口からはヨダレがだらだらと流れる。 快感の絶頂を行き来している姿。 藤崎は、鬼塚のペニスの味を知っているだけに、それがどんなに気持ちいいのか体の芯から覚えてしまっているのだ。 藤崎は、既に理性を失い、自分が何をしているのか、分からなくなっていた。 ただただ、目の前の鬼塚の立派な男根が欲しい。 一ノ瀬のようにアナルに挿れられて、体中がとろけるような思いをしたい。 鬼塚に自分の姿が見られているなんてこれっぽちも思っていないのだ。 そんな藤崎の事情は想像もしていない鬼塚。 欲望とプライドがせめぎ合う。 そして、いよいよ結論が出た。 (ダメだ、クソッ! 我慢出来ねぇ……) プライドが折れたのだ。 鬼塚は、一ノ瀬のアナルからペニスをヌルッと引き抜くと、藤崎の方に向かって歩き出す。 (会長、何て可愛いんだ……俺の負けだ) もともと、藤崎の屈辱まみれの顔を拝んでやろうと思ったのだが、そんな顔は見れず、逆に誘惑されそれに屈してしまった。 悔しいが今は負けて清々しい気持ち。 「さあ、会長の番ですよ……」 鬼塚は最後のプライドを振り絞って言った。 しょうがない、抱いて上げますよ。 そんなせめてもの言い方。 これで、飛びついて来ればまだ救われる。 藤崎は、アナニーの手を止めた。 そして、トロトロになった顔でニヤッと笑った。 鬼塚にはそう見えた。 (見透かされていた? やはり、そうか。俺を蔑むような笑い。『ふん、やっぱりボクを抱きたいんだね? ふふふ』 そんなところか……) 涙が出そう。 いや、プライドの高い鬼塚はすでに泣いてる。 鬼塚が藤崎に近づくと、藤崎は鬼塚の頭を優しく包み込む。 『いいんだよ、鬼塚君。素直になって。ボクの性奴隷にしてあげるから』 そう言おうとでもしているかのように。 (会長の性奴隷にされるなら俺は本望だな……あったかい。会長の胸の中) 鬼塚の汚れた心は藤崎の胸で洗われていた。 一方、藤崎。 「会長の番ですよ」 と言われて、ハッとした。 自分がアナニーに興じているなんて思っても見なかったのだ。 そして、自分の番だと言う鬼塚。 急に恥ずかしくなって照れ笑いをした。 (もう! 鬼塚君が目の前でエッチな事をしているのがいけないんだからね! どうせ、エッチなボクに意地悪な事を言って喜ぶつもりなんでしょ!) 悔しい。 でも、同時に嬉しいのだ。 何故なら、自分にも気にかけてくれる。 そして、同情だとしても抱いてくれると言っているのだ。 こんなエッチな自分を。 抱き着きたい。 そう思った矢先、鬼塚の様子が変な事に気が付いた。 突然の鬼塚の泣き顔。 (どうして?) 藤崎は驚いた。 てっきり、意地悪を言ってくるだろうと思っていたのだ。 (そうか、したくもないエッチをしたから……) 純粋無垢。 その言葉が藤崎の頭の中に思い浮かんだ。 (そうだよね。ボクは知っているんだ。鬼塚君って本当はとっても優しい人。純粋なんだ) 泣き顔であってもカッコよくて眩しい。 (ボクはなんていやらしい。こんな鬼塚君を泣かせてしまうなんて……) 藤崎は思わず鬼塚を抱きしめた。 愛おしくて、愛おしくてしかたなかったからだ。 期せずして、二人はついに素直な気持ちで目を合わせる。 徐々に顔が近づき、自然と唇が合わさった。 ちゅっ……。 重ねたままの唇。 伝わる愛。 それを感じ取った二人は、更に深く夢中になって相手を求めた。 ちゅっぱ、っちゅ、んっ、んんん……ぷはっ……。 絡め合う舌先。 唇を甘噛みし、吸い付き、自由を奪い合う。 ん、んんん、んっぷっ、ぷはっ……はぁはぁ……。 熱い吐息と共に唾液が滴り落ちた。 鬼塚は、言った。 「会長、挿れますよ……」 「……はい、鬼塚君。お願い……」 か細い声で答える藤崎。 押し倒された藤崎は、恥ずかしそうに顔を背けた。 腿の付け根をグイッと抑えられ、お尻の穴が丸見えになった。 鬼塚は、それを愛おしそうに見つめながら、自分のいきり立つペニスを合わせていく。 男同士の体。 なのに、こうも自然に組み合わさっていく。 「うっ、きついっ……会長……分かりますか? 俺のが挿っていくのを」 「あっ、うう、うん……挿ってくる……鬼塚君のおチンチン……」 鬼塚のペニスは、ずずずっと藤崎の体内に吸い込まれた。 はぁ、はぁ……。 重なる吐息。そして、呼吸。 二人繋がっている。 身も心も。 両手もまた、それぞれ指同士を交互に組み、しっかりと握られている。 鬼塚にとってもこんな甘いセックスは初めて。 いつものドS心は鳴りを潜め、純粋な少年のように藤崎の体を貪る。 藤崎は、そんな鬼塚の荒々しく求めてくる愛を真正面から受け止める。 激しくも自分を求めてくれる男の子。 自分も男だからよく分かる。 この体の芯で感じるペニスの固さ熱さこそが愛のしるし。 藤崎は、鬼塚の背中に腕を回し、ぎゅっと抱きしめて言った。 「鬼塚君……好き……」 藤崎の潤んだ瞳。 微笑み。 鬼塚は、それを見てついに告白をしようとしていた。 「会長、俺……」 「何? 鬼塚君……」 見つめ合う二人。 一瞬のようで、永遠のような時の流れ……。 しかし、それを打ち破るかのように、二人の耳にある声が入ってきた。 「鬼塚先輩! 大好き!」 「!?」 その声の主は一ノ瀬である。 一ノ瀬は、ようやくいった余韻から覚めたのだ。 そして、自分を女にしてくれた男。 鬼塚の背中へ抱きつく。 「なっ……」 鬼塚はいきなりの一ノ瀬の行動に声を上げた。 鬼塚と藤崎は繋がっているのだ。 二人は驚いて一ノ瀬を見る。 「えっ? 鬼塚先輩、どうしてお姉様と……」 一ノ瀬も驚いている。 あんなにも愛してくれた男が、別の人とセックスをしているのだ。 「どうして……」 不思議がる一ノ瀬に、鬼塚と藤崎は焦った。 せっかく、これから絶頂を迎えようとしていた矢先のことなのだ。 とりあえず、今の状況を誤魔化す必要がある。 「一ノ瀬、会長も女になりたいと言っていてな……」 「そうそう、ボクも鬼塚君に女にしてもらおうとお願いして……」 咄嗟に出た苦しい言い訳。 二人アイコンタクトで口裏を合わせようとするが、しどろもどろ。 一ノ瀬は、怪しげな表情で二人を見つめる。 「ほら、会長! 気持ち良いですか?」 「うん! とっても気持ちいいよ、鬼塚君」 ワザとらしい会話。 「そうなんですか……やっぱりお姉様も女の子に……」 その間にも二人は、白々しく、あんあん言いながらセックスを続ける。 もちろん、一ノ瀬の様子を肌で敏感に感じながらのお芝居。 一ノ瀬は、しばらく二人のエッチを観察してある考えに至った。 (あまり気持ちよさそうじゃない……これは愛がないって事。あたしとのエッチは愛がいっぱいだからあんなに気持ちよかったんだ) そして、勝ち誇ったようにニヤッと笑った。 (鬼塚先輩が愛しているのはあたし。そして、次にお姉様。あれ? もしかして、お姉様よりあたしの方が可愛いからあたしを選んでくれたって事なの? だから、あんなに激しく?) 一ノ瀬は、満面の笑みでニコニコとし始めた。 二人はそれを見届けると、ホッとして「いくー!」とわざとらしい断末魔をあげるとぐったりと倒れるふりをした。 鬼塚は、藤崎に覆い被さりながら、一ノ瀬の様子をいぶかしげに見た。 (危なかった……それにしても、こいつ、あんなに俺に無理やりやられたってのに、なぜ平然としているんだ? わかんねぇ) 藤崎も鬼塚の背中に腕を回しながら、一ノ瀬の様子を観察していた。 (ユタカ君の鬼塚君を見る目。やっぱり、恋しちゃった目だよね……。もう! 鬼塚君は誰にでも優しいからだ! 鬼塚君のバカ!) 鬼塚と藤崎は一斉に、はぁ、とため息をついた。
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