(1) いつもの二人

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(1) いつもの二人

ここは、美映留(みえる)学園高校の講堂。 全校生徒が集められ、生徒会主催の集会が開催されていた。 ステージの上には、生徒会長である藤崎 歩(ふじさき あゆむ)が女子生徒の制服を纏い熱弁を奮う。 「……と、いうことでボクはとても自由になった気分です!……はぁ、はぁ」 藤崎は、自分の胸に手を当てて制服をアピールする。 藤崎は男にしては小柄で女顔。 性格も大人しく、素直で優しい。 ただでさえ学園のマスコットキャラ的な存在であるのだが、最近は女装を始め、それでますます注目を浴びている。 その女装だが、思いの外似合っているのだ。 いや、似合っているどこの騒ぎではない。 女子生徒が嫉妬するほど可愛いときている。 「ボクは男です。でも、こうやって見た目が女の子に見えたって、何一つ変わりません……あっ……はぁ、はぁ」 その藤崎の演説だが何かおかしい。 話の途中で何故かさりげなく喘ぎ声が入るのだ。 当初、ザワザワと興味なく聞いていた生徒達だが、その喘ぎ声のせいで、いつの間にか藤崎の言葉に釘付けになっていた。 藤崎が、はぁあっと、甘い吐息を吐く。 すると、生徒達は、目を見張りゴクリと生唾を飲む。 藤崎は、顔を赤らめ、恥じらいの笑みを浮かべ、性の悦びに耐える。 そんなエロスを漂わせる。 男子生徒はもとより、女子生徒までも何やらよからぬ気分になってしまう。 当初、藤崎がステージに現れた時は、 「会長! 可愛い!」 「歩君、可愛い! 本当の女の子みたい! こっち向いて!」 「俺、絶対に会長を彼女にしたい!」 と、茶化すような健全な声が上がっていたのだが、いつの間に雰囲気は一転。 ムンムンとした甘い空気が包み、 「か、会長、俺のケツに挿れて下さい……」 「歩ちゃん……女の子同士で是非ご一緒に……」 「はぁ、はぁ、会長、オレと一緒に、いくーっ!」 と、全校生徒が発情状態。 男子生徒はフル勃起。女子生徒は目がハート。 そんな状態になっても藤崎は淡々と演説を続ける。 必死のあまり周りに構っている余裕がないのだ。 さて、そもそも何の説明会かといえば、学園に導入した異性装のアピール。 美映留学園では、ジェンダーレスを目的にした異性装を推奨している。 それで、生徒会冊子やポスターによる広報活動を推進して来たのだが、藤崎の個人的な人気が急上昇しただけで、あまり異性装の広がりをみせていない。 という事で、興味があれば気軽に女装、男装していきましょう、と発信することになったのだ。 「男の子でスカートを穿きたい子がいれば是非チャレンジして、あっ、あぁん……失礼しました……チャレンジして欲しいです……女の子も同様にズボンを穿いて……はぁ、はぁ……下さい」 講堂は、藤崎の色っぽい喘ぎ声が入る度に、おおーっとどよめきが起きる。 さて、どうして藤崎はこのような話し方になってしまうのか? それは、藤崎の前の教壇の中に秘密がある。 (会長、アナル、ひくひくしてますよ? どうです? こうすれば緊張しないでしょ?) (鬼塚君……もうやめて……) そこにいるのは鬼塚である。 鬼塚が教壇の陰に隠れ藤崎のアナルを徹底的に嬲っているのだ。 スカートの中に手を突っ込み、ショーツをずり下げ、あらわになった男の下半身。 その股の間に腕を伸ばし、鬼塚は、ギシギシとアナルに指を食い込ませている。 中指と人差し指の2本。 それを激しく出し入れし、クチュ、クチュと音を鳴らす。 半立ちになった藤崎の可愛いペニスの先からは、キラキラとした透明な液体が糸を引く。 藤崎が懸命に演説をする傍ら、このような鬼塚の容赦ない鬼畜攻めが行われていたのだ。 さて、この鬼塚 玲司(おにづか れいじ)は、同じ生徒会のメンバーで副会長を務める2年生。 ごく普通のよく見かける男子高校生で、「よく見れば、まぁカッコいいね」程度の男である。 ただ性格は、かなり歪んでいる。 正真正銘のS。 むっつりドSなのだ。 藤崎は、こんな鬼塚の悪戯を今すぐ止めて欲しいと思っているのだが、どこかで続けて欲しい、と願っている自分がいる事に戸惑いを覚えている。 そんな自己矛盾に陥っていた。 鬼塚は、藤崎が快感を必死に耐える顔にこの上ない悦びを感じている。 (ああっ、最高! 会長の悶え苦しむ顔、萌えるぅ!) しかも、藤崎の喘ぎ声を出すまいと必死に我慢する顔が、鬼塚のドS心を刺激してやまない。 演説は終盤に近づいた。 さて、さすがの藤崎も、このままでは最後まで持たないと思ったのだろう。 原稿から目を逸らし、鬼塚を睨んで言った。 (お願い……やめて鬼塚君……) (何を言っているんですか? 会長が俺にお願いしたんでしょ? 緊張しないようにって) (違うよ! ボクは一緒に説明をって……あっ、ダメ) 鬼塚は、顔をピクリとも動かさず、会長の為ですよ、と言わんばかりに指を動かす。 藤崎は、こうなったら早く原稿を読み切るしかない。 そう思って、顔を上げ演説の続きを始めた。 「……はぁ、はぁ……ぜひ、皆さんも自分に嘘をつかないで、本当の自分で学校生活を送って欲しいです……あっ、あっ……」 (もう、ダメ……) ギュッと股を内股に閉じ、鬼塚の腕を止めようとした。 しかし、鬼塚は内ももを鷲掴みにし、強引に広げる。 (会長も嘘をつかず正直な気持ちにならないと……さぁ、どうぞ、気持ちよくなって下さい) (もう! みんなの前でそんな事……) 藤崎は、全身を快感が襲い意識が朦朧としてきていた。 (お、鬼塚君の嘘つき! あっ、ああん……) *** さて、藤崎が鬼塚とどんな約束をしたのか? それは一週間前の事。 生徒会室では、藤崎が腕組みをして悩んでいた。 「はぁ、困ったなぁ……」 そこへ授業を終えた鬼塚が生徒会室に入って来た。 もちろんいつものように藤崎会いたさに走って来たのだが、それがバレないように扉の前で息を整えていた。 鬼塚は、困り顔の会長もいいなぁ、と思いつつも会長に問いかけた。 「どうかしました、会長?」 「それがね……」 ここで藤崎は、学校側からの依頼事項をつぶさに話し始めた。 鬼塚は、ふむふむと耳を傾ける。 藤崎は、真剣に聞いてくれる鬼塚に嬉しくなりつい饒舌になって話した。 しかし、鬼塚ときたら、実際には話半分で聞いていた。 ただ一生懸命に動く藤崎の唇に見惚れていただけなのだ。 プルプルして美味しそうだ。 そんなよこしまな気持ち全開である。 「だから、お願い、鬼塚君! 一緒のステージに立って! ボク、緊張して絶対に喋れないから! お願い、この通り!」 この時、鬼塚の目がキラリと光った。 (会長が全校生徒の前で演説だと? これは絶好の機会だな……) 鬼塚のドS計算機はすぐに結論を出した。 (ふふふ、最高のプランだ) ただ、直ぐにOKを出すのは惜しい。 鬼塚は、はぁっとわざとらしく溜息をついて言った。 「じゃあ、フェラしてくれたら一緒にステージに上がりましょう」 「フェラ……」 会長は顔を強張らせる。 鬼塚は、そんな嫌がる会長を従わせるのがこよなく快感なのだ。 (会長の強張った顔、最高っ! いやー、無理やりフェラさせる。これは堪りませんなっ!) 一方、藤崎は、 (鬼塚君にフェラ出来る! 練習の成果を出さなきゃ!) と別の意味で緊張していたのだ。 実は、藤崎はいつ何時鬼塚にフェラを強要されてもいいように、普段からバナナを使った練習をしているのだ。 「ほら、舐めて下さい!」 「……わかった」 ペロンとズボンから出てくる鬼塚のペニス。 (さぁ、見ててね。鬼塚君! ボク頑張るから!) 藤崎は、ドキドキしながらハムっと口に含めた。 さて、そんなやり取りがあったのだが、いざ演説が始まると鬼塚は教壇の中にスッと隠れた。 「ちょ、ちょっと! 鬼塚君、どうして! 一緒にステージに立つって……」 「へ? 俺、ステージに上がるって言いましたけど、立つなんて言ってませんから」 「なっ!」 まんまと鬼塚の策略に引っかかる藤崎。 鬼塚は無表情のまま、あたりまえでしょ? と澄まし顔。 「そ、そんな……」 藤崎は、目に涙を溜めて、唇をかみしめた。 そんな藤崎を鬼塚は息を荒げながら見つめる。 (くーっ! 会長の悔し涙とか最高っす! はぁ、はぁ、やべぇ、勃起が止まらねぇ!) で、演説が始まった。 という事なのだ。 *** 講堂では、全校生徒達はすっかりエッチな雰囲気に呑まれ、密かにいってしまう者も続出している。 そんな中、藤崎の演説は辛うじて続けられていた。 (あと、もう少し。もう少しで終われる……でも……) 藤崎は快楽の縁にギリギリ踏みとどまっている。 そんな状態で体を震わせ最後の力を振り絞る。 「……はぁ、はぁ、何かあれば、生徒会が全面にサポートします……うっ、うっ……ダメ……いや、ダメじゃないです……でも、ダメ……」 (会長のアナル、超ヒクヒクしていますよ。ふふふ。もう、我慢できないんじゃないですか?) (や、やめて、鬼塚君……あと少しで終わるから……あっ、そんな風に触らないで……うううっ) (はぁ、残念でしたね、会長。ここをこうしたらどうなります?) (はぁああん……あっ、あっ、ああん……) 鬼塚の指は、くいくいッと藤崎の性感帯を容赦なく攻める。 その度に、藤崎は、快楽の階段を確実に上っていく。 すでに、藤崎のペニスの先からは透明な汁が、ぴゅっ、ぴゅっ、と吹き出し始めている。 小刻みに体が震え、藤崎は顎が上がった。 (会長、ほら!) ずずっ! 鬼塚の指が勢いよく奥まで突き刺さった。 そしてそれは、藤崎の性感帯に直撃した。 (あぁう……あああ……) 藤崎が耐えていたものがパンと弾けた。 (い、いくーっ……) ペニスの先からはプシューっとおしっこのように潮が吹き出した。 鬼塚はそれを見て、満足そうに笑みを漏らす。 (ははは。会長はいやらしいですね。全校生徒の前でメスイキとか。俺、正直ちょっと引きましたよ) なんという言い草。 藤崎は、鬼塚の言葉を無視して、息絶え絶えに演説を締めくくった。 「……はぁ、はぁ。以上です……ご清聴ありがとうございました……」 *** 数日後。 藤崎と書記の林田は、生徒会室に入り唖然とした。 テーブルの上に藤崎宛のファンレターが山積みになっていたのだ。 林田は、すげぇ、すげぇ、と大騒ぎ。 ちなみにこの林田という男、1年生で書記なんて大それた肩書きを持つが、実質雑用係といったところ。 本物語では、大した役回りは持たないが、いずれ生徒会を巻き込む騒動を巻き起こす事になる。 その林田は、自分宛でもないファンレターをビリビリと封を開けながら言った。 「会長! 凄い反響っすよ! 見てください、このファンレター! 会長を彼女にしたいって!」 「……うん」 藤崎は、ファンレターの山に最初こそ驚きもしたが、すぐに興味を失いソファにもたれた。 心ここに在らずで、ぼうっとして宙を見つめる。 「ほんと、俺の広報の写真がよかったって事っすよね!」 「……うん」 「って、嘘っす! あはは。会長の演説のお陰ですよね。大成功!……あははは」 「……うん」 「あれ? 会長! 会長?」 空気の読めない林田だが、流石に藤崎がおかしい事に気がついた。 林田がジッと藤崎の様子を見ていると、それに気がついた藤崎はハッとして言った。 「……あっ、ああ。そうだね。うん、大成功だったね」 「どうしたんすか? 会長? 何か具合でも……」 「ご、ごめんね。大丈夫、大丈夫!」 慌てて取り繕う藤崎。 藤崎は微笑みを浮かべたが心中は腹を立てていた。 (もう! どうして、鬼塚君こないの! 演説の時の事、絶対に許さないんだから!) ずっと、鬼塚の事を考えていたのだ。 そして、文句の一つでも言わなきゃ済まさない、と思っている。 なのに、鬼塚は生徒会室になかなか姿を見せないのだ。 (全校生徒の前であんな事……) 思い出すだけで恥ずかしくて赤面してしまう。 (演説はうまくいったから良いものを! 絶対に鬼塚君に文句をいうんだ!) そんなところへ扉を叩く音がした。 トントン。 藤崎は、鬼塚君!?っと思って、気持ちが急く。 開口一番文句を言おうとしているのだが、きっと鬼塚君の顔を見ると、笑顔で挨拶しちゃうんだろうな、っとつい自分の事を分析してしまう。 そんな健気な藤崎だったが、鬼塚が生徒会室に入る時にノックなんてするはずはない事に気がついて、すっと力を抜いた。 林田は、首を傾げながら扉を開く。 「誰だろう?」 扉を開けるとそこにいたのは、可愛らしい女の子の姿があった。 その子は、ズカズカと生徒会室に入ってくると、藤崎に飛びついた。 「お姉様!」 藤崎は、何事かと驚いて言葉を失った。
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