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目の前にですね、そう、私の目の前にあるんですよ。ほら、なに? ってナニが。昴のスバルくんが目の前にぶらんと。
いやちょっと待ってよ私! どうするよ? どうすんのよこれをさぁ! しまってくれない? ねえ! ねえ!
「ウニャー、ナーン!」
「なんだよ、エル。オヤツ欲しいのか? ちょっと待ってな」
やはり人と猫は分かり合えないのだ。
そんな絶望感と勝利の予感を交互に抱きながら、台所へと向かう昴の後ろ姿を目で追う。
っていうか、引き締まったいい尻してるわ、昴。
「ほら、オヤツ。これでいいか?」
昴は最近流行のスティック型液体オヤツを持ってくると、また私の目の前にしゃがみ込んだ。
だーかーらー! オヤツはいいからパンツはいてよー! なんてもの至近距離で見せるのよーぅ!
「ウナーン!」
「そうか。そんなにこれが良いのか、エルは」
昴は嬉しそうにそう言うと、私の口元にオヤツを持ってくる。右手が私に近づいて、体が少し右に揺れる。
ふらり。
昴のスバルくんも右に揺れる。
「ほら、美味しいだろう?」
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