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「……あれ? まさかの夢オチ⁈」
「なにがだよ?」
間髪をいれない突っ込みに、はははと意味も無く笑って見せた。
えーっと、昨日はなんか今となっちゃ原因も憶えていないくっだらない夫婦喧嘩をやって、悔しくて、悲しくて、泣きながらベッドに入ったらあっという間に寝ちゃって、そしたらエルになる夢見て、猫手で昴のチンペチやって、そしたらいきなり起こされて、私が旦那さんの寝込み襲った、ですって? うわぁーお!
「なんか自分がエルになった夢見てた」
「お前、エルと本気で俺のこと取り合ってたよな」
「……うん」
ちょっと寂しくなって昴の胸に自分のおでこをつけたら、くしゅくしゅって撫でてくれた。
これ、さっきの夢の中でエルにしてたのと同じだ。まあいいけど。
エルは猫の平均寿命からすると結構長く大木井家に君臨し、そしてある日ふっと灯火が消える様に死んでいった。晩年、彼女は私と昴が一緒にいても邪魔することなく、見守ってくれていた。
多分、昨夜の犬も食わない夫婦喧嘩も天国から見ていて、勝手に落ち込む私を励ますつもりであんな夢を見せたのだろう。
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