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マリリンの話で切迫感が増したところにレンさんが追い討ちをかけた。
「実は私もアキちゃんと同じで、俳優を目指した頃がありました。今はほとんどが園の仕事になってますけどね、やっぱりここを潰したくはないんですよ。できれば、また劇団をやりたいと思っています。その時はこんな老いぼれでも何か役をもらいたい。そんな夢は捨てられませんね」
これじゃあ、もう反発もできない……。
結局、私はまた誰かの身代わりをすることになった。
「良かったわ。やっぱりアキさんはステキな人ね。では、最初のミッションは……」
最初の?!ってことは…。まあ、聞かなかったことにしよう。
「最初のミッションは、アイドルグループ『SAISON』のメンバー、秋穂さんからの依頼です」
「何ですか?それ」
「アキさん、知らないんですか?!」
口を挟んだのは、もちろんシオタではなく、マリリンだ。
「今、人気急上昇中のアイドルグループですよ。アイドルにして、ロックバンド。もちろん、楽曲は編曲まで全て自分たちで作ってます。メンバーはリードボーカルでグループリーダーの春奈、ドラム担当の夏海、ベース担当の冬華、そして依頼人の秋穂はギター担当です。歌はほとんど秋穂が作ってます。
なかなか、いい曲多いですよ。『Sad ending』とか『ドール』とか、バラードなら『feeling』がいいですね」
「マリリン、やけに詳しいのね」
「はい、CD持ってます。お貸ししましょうか?」
「CDなら、後で渡すわ。今回のミッション用に仕入れてきたから。それより、依頼文を読むから聴いてもらえる?」
シオタはパソコンを立ち上げ、秋穂からの依頼文を読み上げた。
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