第1話 アキ、アイドルになる

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依頼文 園田明帆(そのだあきほ) 私はアイドルグループ兼ロックバンド『SAISON(セゾン)』に所属して、ギターと曲作りを担当している秋穂です。 この度、水晶占い師のマリさんから紹介してもらって、依頼しました。 実は最近、私宛てに脅迫めいた手紙が届くようになりました。内容は「おまえ、いい気になってんじゃねえぞ。リーダーは春奈だ。それをちゃんとわきまえろ!」とか「おまえなんかより春奈の方が数倍可愛いんだ。おまえはブスでギターも下手くそ。曲作りも本当は春奈がやってるんじゃないのか?!」とか「目障りなんだよ!オレが可愛い子を連れてくるから、おまえは脱退しろ!」とか。内容は段々エスカレートしていきましたが、文章もなんだか子どもっぽくて、まだ我慢できたというか気にしないでいられたんですが、昨日、カミソリ入りの封筒が送られて来たんです。危うく手を切るところでした。 それで、怖くなってしまって……。 一週間後に握手会があるんです。マネージャーは中止しようと言ったのですが、私は楽しみにしているファンのことを想うと、中止にはしたくないんです。 どうか、握手会の時だけ私の代わりをしていただけないでしょうか? 「依頼文は以上よ。これは、かなり問題アリのようにも思うけど……」 「これって、私が襲われるかもしれないから、身代わりしてほしいってことですよね?!」 まさか、こんなの、引き受けるわけないよね? でもシオタは冷静だった。 「アキさん、午後から秋穂さんとマネージャーさんがここに来ることになってるのよ。だから、まず、ふたりの話を聞きましょう」 シオタに宥められ、このミッションを受けるか否かは、とりあえずふたりに会ってから決めることになった。
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