塁のふしぎな日曜日

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土曜日、俺が野球ボールとグローブを持って近所の公園へ遊びに行こうとしたら、いつも通る近道の神社の参道が通行止めになっていた。見ると、職人らしいおじさんが、参道のコンクリートを(なら)している。 ああ。 昨日、古くなってひび割れたコンクリートを剥がしてたもんな。 あのちょっとした段差でお年寄りが(つまず)くって、お母さんが言ってた。 俺は、諦めて、神社をぐるっと迂回して公園へと向かった。 俺は、今、小学校6年生。3年生からずっと少年野球をやってる。自慢じゃないけど、背は学年で1番高い。そのせいもあって、学年で1番足は速いし、チームで誰よりも遠くまでボールを投げられる。 いつもなら、毎週末、野球の練習があるんだけど、今週はたまたまグラウンドを町内の行事に使うとかで、練習が休みになった。だから、公園で野球仲間数人とキャッチボールでもしようって約束してるんだ。俺は、いつものリュックに水筒を入れ、ポケットにお菓子を詰め込んだいつもの出立ちで、公園の仲間とキャッチボールを始めた。 翌日曜日、また公園に行こうと神社を通りかかると、もう通行止めの柵はなくなっていた。 よし! 俺は、早速真新しい参道を通って公園へと向かう。 けれど…… あれ? 真新しいコンクリートに、足跡がある。 なんだ、これ!? それは、猫の足跡のようで、でも、猫よりずっと大きい。 なんだろう? 大型犬? どこかの家から、たまたま昨日脱走した? コンクリートの上を歩いて大丈夫だったのかな? 気になった俺は、無意識にその足跡を辿り始めた。 その足跡は、まっすぐにお社へと続いている。 きっとそのままお社の石段を上ったんだよな? そう思い、俺は視線を上げてお社へと目を向けた。 ん? お社の閉じられた格子戸の隙間に何か紙切れのような物が引っかかってる。 俺は、石段を3段上って賽銭箱を迂回すると、格子戸に近寄った。 俺が近くでよく見ると、それは茶色く変色した古い紙。 4つに折られたその紙は、端はボロボロだし、所々虫食い痕はあるし、随分古い紙なのは一目で分かる。 なんだろう? 俺がその紙を手に取ろうと触れた瞬間、グラリと地面が揺れた……気がした。
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