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恐怖
私は先ほどの出来事を思い出し、暗い封筒の中で震え上がっておりました。
ポケットから出たかと思うと次の瞬間には体全体がむち打ち状態になっているではありませんか。
あまりのことに声も出せず痛がる私に、猛烈な悪臭を放つ足裏がのしかかってきました。
苦しい…息が…できない
自分が耐えられる重量を遥かに超過した体重に落ち潰され、節々がきしみもうだめだと思いました。
しかしその寸前で重しは離れていきます。
何故か私はテーブルに置かれると、スマフォを向けられました。
圧倒的な暴力を振るわれている時とは別の、言いようのない寒さを感じました。
次はどんな目に遭わされるのか、想像を絶する災難が起こるのでは無いかという恐怖に血の気が凍る。
彼女は何かぶつぶつと呟きながら部屋を出ると、今度は茶封筒を手に戻ってきました。
身構えましたがただ封筒に入れられただけでした。
また暗い場所に仕舞われました。
次に出た時同じ人がいたら…私は紙が抜けていく思いでした。
これほどの仕打ちを受ける何かをしてしまったのでしょうか。
何度も反芻して考えてみましたが、さっぱりわかりません。
先ほどの暴行で裏表紙が大きく折れてしまいました…ブックカバーも剥ぎ取られてしまっています。
どうしたら…
どうしようも無いことは頭では理解できるのですが、身体が焼けるような焦燥感に埋め尽くされます。
全く理不尽な理由で奪われ
二度と元に戻らない
傷を負わされることもある
それを理解するにはこの頃の私は若すぎました。
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