呪われた一日

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呪われた一日

「や、あの、ヨウコちゃんって、オジサン……?」   「オジ……?まあ、俺が女子大生風だったら、チロちゃんも心を開いてくれるかなと思ってさ」   「はぁ」   「実際そうだったよね?」    走馬灯のように駆け巡る記憶。数々の痴態。あの時相談に乗ってくれたのも、励ましてくれたのも、昨夜会おうと口走ってしまったのも、まさか、オッサン相手だったなんて。そんな、馬鹿な。   「う、嘘ついたんですか!?」   「はは、やだなぁ、女だなんて言ってないじゃん。それに、会いたいって言ってきたのはそっちだよ?」   「アイコンだって可愛い女の子だし女口調だったじゃないですか!? それに、講義つまんないっていうのにもわかるーって同調してくれたし……」   「そりゃ、講義はつまんないものでしょ?」    いやいや、いやいやいや、ねぇ!?    混乱を極めた私は完全に取り乱していた。    いや、でも、まて。オッサンだからなんだというのだ。  アッシュブラウンの少し遊ばせた髪。切長の目。長い手足。オッサンにしては綺麗な顔をしているし、スタイルもいいし、なんだかオーラを感じるし、悪い人じゃないかもしれない。案外心は女子大生なのかも……     「ね、今の見た? あの子、俺のこと見て顔赤くしてたよね? はは、かっわいいなぁ」    オッサンなうえに女好きときた。ガッカリだ。    
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