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『こんにちは、ヨウコちゃん』
『はーい、久しぶり、チロちゃん』
『ヨウコちゃんの家って早稲田大学の近くだって言ってたよね?』
『そうそう、馬場だよ~ 近くっていうか、ほんとすぐそこ!』
『明日、会えないかな?』
『え?』
『会ってみたいなって思って』
明日香があんなに心配してたけど、そんなわけない。大丈夫なんだ、って思うままに文字を打った。明日香は夜中に帰ってきたけど、私と顔を合わせづらいのだろう。早朝にまた出て行った。『バイトに行ってるから心配しないで』ってLINEが送られて来た。
それを見て、『友達に会ってきます、心配しないで』
そう返した私は家を出て、今、ここにいる。
――なんてことだ。
しんじらんない。明日香の言ったとおりだ。ヨウコちゃんは女子大生ではなくオッサンだった。最悪だ。
「それはチロが悪いよな」
女性っぽいしゃべり方は辞めたらしい。
白いレース柄の可愛らしいマグカップを口元に寄せて、ヨウコちゃんは当然のことを口にした。
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