このたびは、「ご縁」がありまして

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  「はじめまして、チロちゃん」      時が止まった、という言葉を使うなら、まさに今だと思う。    颯爽とやって来たその人物は、長い足をサッと組み指先をクロスさせその上に顎を乗せると、ニコッと微笑み小首を傾げた。       「あ、あの、ヨウコちゃん……?」   「うん。ヨウコちゃんだよ。  会えて嬉しいな、チロちゃん」   「……」      私は今、人生最大の後悔の真っ最中である。      何故かって?   ――その人物は、紛れもなくオッサンであった。      
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