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「ずっと好きだった」 言葉にすると陳腐だった。だから、言いたくなかったし、永遠に言えない言葉だとも思っていた。それなのに、光はあっさりと呟いて、私に微笑んだ。 まるで本気みたいに笑って「美里しかいらねぇ」とこぼした。どうしようもなく胸が震えて、死ぬと思った。こうして、保険をかけていないと私たちは愛を囁くことすらできないのだ。 「きらい」 震える唇で囁いて、光が自嘲するのを見た。 「私以外に笑ってる光なんて、嫌いだから」 耳元に吹き込んで、涙が出そうになった。私を追い詰めようと動く動作さえも止めて、光が目を丸くしている。その表情に、今日までの24年間の自分の嘘が、光には全く気付かれていなかったことを知った。 馬鹿だよ。 だから、こんな変な女に引っかかっているのだろう。重々しいため息が首筋にかかって、思わず身を捩った。明日には忘れる。全部全部忘れる。全部忘れて、元どおりになる。 「馬鹿じゃねえ? そんなの、俺の方が思ってるに決まってんだろ」 「ひか」 「俺以外に笑うな」 「ひ」 「俺以外触んな」 「ひかる……」 「俺以外見んな」 「光」 「俺以外のとこ、行くなよ」
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