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わざと羞恥心を煽るような言葉ばかり投げ掛けられる。最低の声に眉を顰めて、それでも抱きしめられたらどうでも良くなった。 光なりの拒絶だった。今、家族の話をするなんて、ばかげている。 「みさと」 「な、に」 「結婚、オメデトウ」 だから、返すように、こんな言葉を吐かれるのだろう。結婚おめでとうと言われるような体勢じゃなかった。汗ばんだ体に触れる指先で、光は私を笑っている。 とんだ淫乱だと言いたげな瞳から目を逸らして「ありがとう」と呟いた。 「俺とは全然似てねえ男だよな」 「当然、でしょ」 「そう? 俺は姉ちゃんに似た女しか抱いてこなかったけど」 「……」 「毎日美里でオナってたし、美里の下着に興奮したし、美里の入ったあとの風呂で悶々としてたよ。狂ってんだろ? あと少し、同じ家で暮らしてたら、美里の事犯してたね、まあ、今やっちゃってんだけど……。どうせ忘れんだろ? 全部言ってやるよ。ずっとお前が好きだったよ。狂ってるってわかってるくせにお前しか好きになれなくて、病気かと思ってた。毎日毎日頭ん中で犯してた。毎日毎日、こうやってお前が喘ぐのを上から見下ろす夢を見てた。そろそろ歪み過ぎて可笑しくなるとこだったわ。お前が普通の男と結婚してくれて良かったよ、これで、普通になれる」
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