きみはあくまで

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「光、プレゼントありがとね。伊央がすっごい喜んでる」 「ああ、別にたいしたもんじゃねぇし」 「好きな人からもらったんだもん。それだけで嬉しいんだよ」 「あ、そ」 笑い出したくなるくらい滑稽だ。伊央の手を握って笑っているその残酷な女に、捨てきれない感情が淀んだ。それは、伊央がなんでも真似したがる美里にも適応されるのだろうか。 だとしたら本当に馬鹿げている。現実はいつだってナイフを突き立てる。 「なぁ、姉貴」 「ん?」 「伊央さぁ、本当にお前に似てるな」 今にも家へと戻ろうとしている横顔に声が漏れた。俺の言葉に、美里が笑う。心の底からしあわせそうな顔で、「そうでしょ? 最近は真似っこだから、ますますなの」と笑った。俺もそれに笑った。同じように、同じタイミングで笑って、開口する。 「美里の真似してる伊央は、美里よりも俺にそっくりだろ」 その言葉がどれだけの意味を持っているか、美里は知っている。まっすぐに瞳を見つめた。貫くように、焦がすように見つめて、美里が曖昧に笑うのを感じる。 口を開きかけた美里の腕を伊央が引くまで、俺はまた、性懲りも無くその手を奪うことを考えている。 諦めが悪いのはいつも俺だった。
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