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ブラウスのボタンは彼に慣らされるように解けていく。私はそれを呆然と眺めていた。 彼は、自身の指先がまるで私の体の一部であるかのように、簡単にボタンを解く。それは、最初から私のブラウスをはだけさせるために生まれてきた手のようだった。 「可愛いとこあるね」 なんて言うけれど、本当はずっと前から知っている。ずっと前からこいつは、私の中で全てのナンバーワンだった。 だから可愛いこともずっと前から変わっていない。とことん罪深いその瞳を塞いでしまいたい。 全てのボタンを解いた彼は、おかしそうに私の目を眺めた。まるでチョコレートのようだ。それもドロドロに溶けた熱いチョコレート。彼の手がブラジャーをなぞる。それも、わざと意味を持たせるように、いやらしくだ。 「俺、黒の方が好きなんだけど。黒の方が汚し甲斐ある」 「黒はブラウスに透けやすいから着ない」 「何でだよ、透けブラ最高じゃん、俺なら毎日眺めてるよ」 彼は私が呆れる前にケラケラ笑いながら、ま、汚さないように奪っちゃうけど、と言った。その言葉と同じように、あっさりとブラジャーが奪われる。 薄い桃色、特に勝負でも何でもない下着だ。もっとも、勝負なんてするつもりもないから、そんな下着は一枚もないけれど。
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