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土曜日の朝は、少し意地悪。
あなたの無邪気な笑みも、考え込むような憂い顔も、すべてが「あれ」に結びついているような、そんな予感を抱いてしまう。
あなたは何かを補うように私の髪を優しく撫で、それからふいに新聞を開き、真面目な亭主を演じます。
出会った頃からちっとも変わっていない、その、幼さを残した横顔。私はすっかり所帯染みて、お化粧もあんまりしなくなったっていうのに、あなたはいつまでもいつまでもきれいな肌と、少年みたいな瞳を持っています。
いつだってあなたはまわりの人から独り身のようだと形容されて、私の気配など微塵も感じさせません。きっと、無意識の無関心ね。
分かるの、私。
妻、ですもの。
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