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入り口にいたのは竹中さんだった。俺が知る彼と違うのは、泡立ったような歪な脂肪を蓄えた、不気味な肉塊であることだ。
瞳は左右で別々の方向を向いていて、腕や足はもはや四肢と呼べないだけの肉がついている。
奇妙。歪。異形。
脳が白んだ。どうあっても理解できない。理解したくない。
目の前にあるこれはなんだ? これはなんだ? これはなんだ!?
開いたドアからは異臭が噴き出し、怪奇と化した男の容貌が俺の意識を引き付けた。自分の意思でそらせないことを知ってか知らずか、竹中さんは耳障りに水気の含んだ音と共に前に出た。
一歩出た竹中さんの足を見て合点がいく。ああ、あの足跡は血の跡だったのだろう。膨張した足から弾けた血液が、僅かばかりに足の裏まで垂れたのだ。
「んひぃ、ひぃ、どど、どうする?」
「こごれも、もだない、ねぇ、ねぇ」
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