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細い目の目尻はちょっと下がり気味。浮かべてる微笑は優しくて、威圧感なんかない。細身だけど肩幅と胸板はしっかりしてて、鍛えてるんだなって一目でわかる。で、腰近くまである長い黒髪はサラサラで不潔感がない。
「あれ?」
思わず呟く。このおっさん、いや和馬さん、覚えがある。どこで……。
和馬さんも同じことを同時に思ったらしい。俺の顔をじっと見る。
「……あ、あの時の」
「だよな? クリスマスイブのホストくんだろ」
やっぱそうだ。クリスマスイブに、キャットファイトから救ってくれた、金髪美人連れたおっさんだ!
「あの時助けていただいたホストです」
「何なの、鶴の恩返し?」
かおるさんは不思議そうにそうツッコミながら手近なテーブルに荷物を置く。
「ま、ちょっとこないだそこら辺で会ったことあるんだわ」
和馬さんはちらっと俺を見て、顔をしかめる。多分あれ、ウィンクしたつもりだな。あのキャットファイトについては黙っててくれるつもりらしい。あの時みたいに優しい。
「マオです。よろしくお願いします」
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