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「俺、どの角度から見てもホストですけど、和馬さんは心配しませんか」
「あたしがバカなホストにハマってつぎ込むなんて、和馬は思ってないわよ」
がっちり信用関係が出来てるってことか。
やっぱり少しモヤモヤする。和馬さんの人柄は全然わからないけど、最初は和馬さんからかおるさんに惚れたんだよな。離婚したからって、少しもその気持ちが残ってないとは言い切れない。男と再婚してるからって、女が嫌いになったわけでもないだろ。
こんな無茶な頼みを聞くくらい、かおるさんに何らかの気持ちがあるんじゃないか?
ライバル……って言っていいのか? 何にしても、強過ぎる。積み重ねてる年月が違い過ぎる。俺が産まれる前からの関係ってヤツの底を、俺なんかに理解出来るわけがない。
「来てくれるでしょ? マオ」
かおるさんは、俺がうんと言うことを少しだって疑ってない。
「はい」
そう答えるしかないじゃないか。
部屋の中に流れてたケルベロスの音が急に意識に割り込んでくる。
正確で、タイトで、激しくて。それでいて荒々しさも兼ね備えてるドラムの音。熱くて、触れたら火傷しそうだ。
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