17

9/11
前へ
/475ページ
次へ
「俺、どの角度から見てもホストですけど、和馬さんは心配しませんか」 「あたしがバカなホストにハマってつぎ込むなんて、和馬は思ってないわよ」  がっちり信用関係が出来てるってことか。  やっぱり少しモヤモヤする。和馬さんの人柄は全然わからないけど、最初は和馬さんからかおるさんに惚れたんだよな。離婚したからって、少しもその気持ちが残ってないとは言い切れない。男と再婚してるからって、女が嫌いになったわけでもないだろ。  こんな無茶な頼みを聞くくらい、かおるさんに何らかの気持ちがあるんじゃないか?  ライバル……って言っていいのか? 何にしても、強過ぎる。積み重ねてる年月が違い過ぎる。俺が産まれる前からの関係ってヤツの底を、俺なんかに理解出来るわけがない。 「来てくれるでしょ? マオ」  かおるさんは、俺がうんと言うことを少しだって疑ってない。 「はい」  そう答えるしかないじゃないか。  部屋の中に流れてたケルベロスの音が急に意識に割り込んでくる。  正確で、タイトで、激しくて。それでいて荒々しさも兼ね備えてるドラムの音。熱くて、触れたら火傷しそうだ。
/475ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加