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 かおるさんはにこっと笑って踵を返す。後ろをついて行くと、そこから見えるビルの地下へ入って行く。一階はフィリピンパブ、上にはインターナショナルクラブなんかが入ってる雑居ビルだ。  あんまり明るくない短い通路の突き当たりに、黒い重そうなドア。そこに書いてあるのは、THUNDER&LIGHTNINGって文字。ここが、和馬さんのバーなのか。  かおるさんがノブに触れる前に手を伸ばして、ドアを押す。すげぇ重たい。飲食店じゃなくて、ライブハウスみたいだ。  中を見るより先に、かおるさんを通す。 「おはよ、和馬」 「おーう」  のんびりしたしゃがれ声。あれ、想像してたのとちょっと印象が違う。もっとこう……ギラギラした感じのオヤジじゃねぇのか?  続いて中へ入って、ドアを閉める。やっぱりドアは分厚くて、ガッチリしたレバーになってるノブで密閉出来る。これ、防音仕様だ。  さあ、和馬さんとご対面だ。ここはビビらずにちゃんと挨拶を……。 「はじめまし……」  言いながら、俺より背の高い和馬さんの顔を見上げる。
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