333人が本棚に入れています
本棚に追加
01
例えばの話。
きちんと決着がついた恋というのは、案外すぐに忘れられる。
その渦中にいる時は死にたいくらい苦しくても。
息ができないほど泣いたとしても。
生きる気力が湧いてこない日々を送っていたとしても。
数年後に振り返ったら、なんであんな男の為にと首を傾げてしまう。
逆に決着がつかなかった恋はいつまでも忘れられない。
見ているだけでいい。
近くに居られればそれでいい。
逃げ続けたせいで想いを打ち明けられなかった恋は区切りがつかない。
記憶の扉を開ければ当時の感情を呼び覚ますのも容易だ。
もしかしたら私の身体の一部はその時間で止まっているのかもしれない。
だからといって今さら決着がつかなかった恋をやり直すなんてできないんだけど。
……私が好きだった君は、元気だろうか。
大人になった今、何をしているんだろうか。
何を考えて生きているんだろう。
時々、何かの拍子にそう考えてしまうのは、区切りがつかなかった恋を、まだ拗らせている証拠なのかもしれない。
まぁ……今さらどうにもできないんだけどね?
最初のコメントを投稿しよう!