人形との出会い

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人形との出会い

「なぁ、名前なんて言うの?」 声をかけたのは飲みサーでの集まり 「…片根歩夢です」 下を向いてスマホを弄っているそいつの肩に手を置くと そいつは少し不愉快そうな顔で名前を言った 「へー、俺小野瀬雄乃。よろしくね、片根」 「よろしく…」 入学式から目をつけていた こういう奴は、一度惚れさせれば依存する 「もしかして、こういう集まり苦手?」 「…あんたに関係ないだろ。陽キャは女に囲まれて酒でも飲んでた方がお似合いなんじゃないか?」 その童顔からは想像できない、きつい言葉を吐くのが余計に堪らない 「…意外と毒舌なんだな」 「まぁ、そういうわけなんで。構わないでもらえますか」 「んー、無理。俺君に興味持ったし」 「はぁ…?」 「ね、抜け出そ?静かなとこで飲み直そうよ」 「いや、でも…」 「いいからいいから」 「いやーごめんごめん、強引に連れ出しちゃって」 「謝るなんて意外だな、陽キャは自分の非を認めないもんだとばかり思ってたよ」 「いやー君を口実にでも使わないと抜けれなくて、ごめんね」 「…あんた飲み会好きじゃないのか?」 「んー嫌いじゃないけど得意じゃないな。うるさいのは嫌だし(笑)」 「ふーん…」 落ちる 「お詫びに奢らせてよ、いいワインバー知ってるんだ」 「あぁ…まぁ、いいけど」 「こういうの、女を口説くためにやるんじゃないのか?」 こいつは落ちる 「まさか、女じゃなくて好きなやつを口説くためにあるんだよ」 女のことを探りにいれてくる 「それってどういう…」 きっとこいつは 「言わなきゃ分かんない?」 「…いや、やっぱ言わなくていい…」 俺好みの人形に出来る
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