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好きみたいだ
「お…俺…昔から…嫌われるほど…その人のこと好きになって…でも、小野瀬だけは…優しくされるほど嬉しくて…冷たくされたら悲しくて…これが本当の恋なんだって思えて…」
俺と正反対なのにそっくりだ
俺は、相手が俺の言う通りになるほど惹かれて
そうじゃなくなったらそのまま捨てるのに
片根だけはそうじゃなかった
俺の好みとは全然違うことを言い出しても
片根が俺から離れようとしても
捨てようと思わなかった
引き止めて、縋って、側に繋ぎ止めようとした
全然俺の愛とかけ離れた形になったのに
必死になって好きでいさせようとした
「好きだ」って言わせようとした
俺はその人自身を好きだって言ったこと、一度もないのに
そんな俺が、人に本気で好かれるわけない
なのに、片根は俺を好きだと言う
こんな自分勝手な愛を振りかざす俺を好きだと言う
…気づきたくなかった
俺は…
「好きだ」
「え…」
「俺も…好きみたいだ…」
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