本音

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本音

「…こっち向けよ」 キスをした 「あ……」 普通の人たちがするようなキスを 普通じゃない俺たちがキスをした 「…俺さ、俺の言う通りになるその人が好きだったんだ…その人自身を好きだったことなんて一度もなかった…」 「え…」 「俺がお前に興味を持ったのも…依存しそうなタイプだったからなんだ…お前に優しくしてた最初の俺は全部嘘で、今のクズな俺が本当の俺なんだ…」 好きだと言ったあとから 堰を切ったように本音が出てきた 「俺は、俺の言う通りになる片根が好きだった…俺を好きだって言う片根が大好きだった…はずだったんだ」 そう、そのはずだった いつも通り遊んで 相手が嫌気が差したら終わりにする そうする予定だったのに 「終わりにできなかった…片根だけは、俺から離れることが気に入らなかった…それも、最初は俺の言う通りにしてないからだって思った…でも違ったんだ…」 好きだった だから、離れてほしくなかった 嫌われたくなかった こいつは俺のことが好きなんだって 思っていたかったんだ 「好きだ…好きなんだよ、きっと…確証なんてない…それでも…」 それでも それでもお前は 俺を好きでいてくれるのだろうか 「俺を好きだって、言い続けてくれるのか…?」
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