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「ちょっと待って。私だって混乱してるの。そんなに簡単に答えは出せないわ。それに、アメリーさんたちが反対派じゃないって確たる証拠があるわけでもないし」
クロエはずいぶん苛立った様子でそう言うと、床を数度、強く踏みつけた。
「少し君に訊いてみたいんだが」
「何よ?」
クロエは明らかに不機嫌そうだ。僕は逃げ出すことを諦めた方がいいかもしれないと思いながら、彼女に尋ねてみる。
「僕たち賛成派は、どんなチームであっても、たとえそれが幹部の率いるチームであっても、五人でチームを組むことになっている。反対派ではどうなんだい?」
「どうして突然そんなことを訊くの?」
「いいから答えて」
僕は少し語気を強めて言った。すると、クロエは僕と向かい合うようにベッドに腰を下ろし、一呼吸置いてから答えた。
「反対派でも、賛成派と同じよ。少なくとも私の聞いている限りでは、どんなチームであっても五人でチームを組むことになってるわ」
「だとしたら、おかしいと思わないか?」
「何が?」
「アメリーのチームだよ。だって、彼女を除けば男が二人。三人のチームだ。賛成派でも反対派でもあり得ないことだ」
「でも、給仕係の女性と、運転手は?」
「運転手に関して言えば、賛成派ではチームに関係のない、運転手だけを務める人間がいる。反対派もそうじゃないかい?」
「そうよ」
クロエは頷いた。
「だとすれば、賛成派や反対派の基準に照らし合わせてみると、運転手はメンバーではないということになる」
クロエは、たしかにと言わんばかりに、ポンと手を打った。これはいい流れかもしれない。そう思った僕は、更に畳みかける。
「給仕係に関して言えば、箕面大滝にも来ていなかった。基本的に僕たちのチームは全員で動く。まあ、君を回収しに行ったときは例外だ。昼だったし、大人数で動くわけにはいかなかったからね。反対派はどうだい?」
「反対派でも、基本的に常にチーム全員で動くわ」
「だとすれば、あの給仕係もメンバーでなくなる。そうすると、アメリーのチームは三人のチームということになる」
「だけど、まだ姿を現していないだけで、他にもメンバーがいるのかも」
「それなら、僕たちを箕面大滝まで迎えに来たときに一緒にいたはずだ。いろいろ考えてみても、アメリーたちは賛成派のパターンにも反対派のパターンにも当てはまらない」
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