After the Earthquake

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「はい。犯さない代わりに口で奉仕しろと。私はずいぶん悩みましたが、その条件を飲みました。何せ、相手は男四人、私がどんなに抵抗したところで敵うわけがありません。本気で私を犯そうと思えば、いつだって犯すことができます。もちろん、チームから逃げ出して、そのまま反対派を脱退することも考えました。だけど、私は自分の信念を貫くために、どうしても反対派の中にいる必要がありました。もちろん、チームを変えてもらえる方法でもあるのならそうしたのですが、そんな方法なんて私は知りません。だから、仕方がなかったのです」  語り終えると同時に、クロエの瞳から一筋の涙が零れた。話を聞きながら、ずいぶんひどい話だと僕は思った。アーサーに関して言えば、多少冷たいところはあったものの、決してそんな不条理なことを押し付けてくることはなかった。僕自身がケイトに対してひどいことをしたのを除けば、チームとしても纏まっていたと思う。少なくとも、メンバーの誰か一人を奴隷にするかのような扱いをしたことはない。そもそも、賛成派にしても反対派にしても、同じ志をもった人間が集まっているはずだ。そして、互いに互いを信頼しているはずだ。そうでなければチームとして活動なんてしていけるはずもない。だけど、中にはクロエのチームのリーダーのような人物も混じっているのかもしれない。 「辛かったわね」  アメリーはポンとクロエの肩に手を置いた。それと同時に、クロエの瞳から、一気に大量の涙が溢れ出す。そして、涙を流しながら、クロエは必死にアメリーに訴える。 「それだけじゃないんです。それから、ほとんど毎日のように、私はリーダー・ボブに奉仕させられました。しかも、それを見ていた他のメンバーも私に口でするように要求しだしたんです。もちろん、リーダー・ボブが私を助けてくれることなんてありません。私は毎度吐きそうになりながら、男たちの要求に応えました。せめてそうやって自分の貞操を守ることくらいしか、私にはできなかったんです」  クロエの言葉に、アメリーは同調するかのように、うんうんと首を大きく縦に振る。僕も話を聞きながら、会ったこともないリーダー・ボブに対する殺意が芽生えてきた。もしもクロエがリーダー・ボブにいつか何らかの復讐をしたいなら、それを手伝ってもいい。そんなふうにさえ思えてくる。
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