春の温度

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 家に帰ってからも混乱が収まらなかった。 「どうしたら伝わるんだろうな……」  薄暗いリビングのテーブルで突っ伏していると、誰かの気配がした。 「どしたの? ふられた?」  やってきたのは妹の環奈だった。 「うるせえよ」 「お兄ちゃんテキトーだからね。どうせまた彼女怒らせたんでしょ」 「……オレってそんなにテキトーか?」 「テキトーじゃん。なのにわけわかんないところで頭硬いし」  なんていうか、自分本位って感じ。そう言われて、ぐさりと突き刺さる。 「……それよりオレが買って帰ってやった牛乳の使い心地はどうよ」 「なに牛乳の使い心地って」  くだらないこと言ってないで、彼女に謝ってくれば? 妹はそう言った。
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