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──迎えた、翌週。
俺は妻に「じゃ、いつものストレス発散してくるわ」と告げて家を出ると、先週と同じく急行に乗り、1時間かけて彼女の待つ駅へとたどり着いた。
『14時56分の急行で、そちらに着きます』
『駅の改札の出口で、待っていますね♪』
電車を降り、俺が改札へ行くと、彼女は送られてきたLINEの指示通り、改札の向こうで手を振りながら俺を出迎えてくれた。
「遠いトコロから、わざわざありがとうございます。
駅からは、歩いてすぐですので」
彼女は小さく頭を下げると、俺を引き連れ、自宅のあるマンションに連れていってくれた。
彼女のマンションは、駅から5分とかからない場所にあり、その部屋は彼女の容姿を表すかのように綺麗に整理整頓されていた。
彼女が選んだ映画は、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」であった。
主演をつとめたビョーク自らが主題歌を歌うミュージカル映画であり、話題になった事から俺も一度見た事がある名作なのだが、その結末から「この後の行為には、不向きな作品では」と思った。
しかし、彼女自身が見たいというのなら仕方がないので、俺はビョークの名演に心を打たれながら、この後の行為を期待して待った。
「シュー、パチパチ」
ビョークが発した他愛のないセリフを彼女は続けて言うと、口元を緩ませる。
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