*私にとってのエピローグ

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*私にとってのエピローグ

 翌朝、目が覚めるといつも以上にすっきりしていた。  昨夜は残業の嵐で終電も逃し、久しぶりに歩いて帰ってきた。日付が変わる頃に会社を出て、ぼうっとしながら歩いているうちにいつの間にか家へたどり着いて、いつものようにメイクを落としてシャワーを浴びてベッドに潜り込んだ。  そういえば、何時に帰ってきたんだっけ?途中、なんだか記憶に靄がかかっているが、たぶん、なにか夢を見たせいだと思う。昨日はよっぽど疲れていたはずだから。  支度をしていると、財布から1000円札が一枚消えていることに気づく。何に使ったのか覚えていないが、帰りに寝ぼけながらコンビニにでも寄ったのだっけ?いや、会社にいるときに飲み物を買ったような気もする。気にはなったがとりあえず良いことにして財布を鞄に戻し、コートを着て家をでた。  夜中についた歩道の霜がだんだんと溶け始める中、まだ誰も通っていないその上を、私は足跡を残しながら会社へ向かう。
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