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*夜半喫茶「宵闇」
――カラン
おやおや。近頃人間のお客様がよくいらっしゃる。
いらっしゃいませ。どうぞ、カウンターのお席へ。
当店は夜半喫茶、宵闇。その名のごとく、夜中に営業している喫茶店です。
当店のお客様は死神、魔女、妖精。すでに鬼籍の方から神界の皆々様まで、様々な方にご利用いただいております。ああ、人間の方ももちろん、時々いらっしゃいますよ。ご安心ください。
メニューは私のおすすめのみになっております。すぐにご用意いたしますので、少々お待ちください。
ところで、ここへはどうやって? 通常、人間のお客様はなかなかたどり着けないのですが……
ああ、光る足跡を追って、ですか。なるほど。
どうやら最近、あなた方の姿を見かねた妖精たちが優しいいたずらをしているみたいですね。先日も足跡を追ってたどり着いた方がいらっしゃいましたよ。
迷惑かなんてとんでもない! ここまでたどり着いた方はどなたでも大歓迎です。ぜひ、当店で疲れを癒やしていってください。
そちらの瓶の焔、気になりますか? きれいでしょう? 私の大切な恋人なんです。彼女にはうちのカマド番をお願いしているんですよ。機嫌を損ねると、店の明かりさえ灯してくれないんです。かわいいでしょう?
こらこら、照れるからって火加減をかえないでくれよ。悪かったって、ほめてるだけじゃないか。
ああ、すみません。
そうだ、もうすぐ常連の死神様がいらっしゃるはずですよ。毎日、出勤前に来てくださるんです。ちなみに、彼女の魂を切り離したのも、それを私にくださったのも、その死神様なんです。
彼の持っている鎌、ちょっと特殊な産地の鉄でできているらしいのでが、これがとんでもなく切れ味が良くて。この前、包丁の刃が欠けてしまったときにナイフをお借りしたのですけど、そのままもらってしまおうかと本気で考えてしまうくらいでした。
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