ひとりじゃないから

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 「やだー!」 ケーブルテレビを()けた途端、お肌はそれはそれは抜けるように白く、こぼれ落ちそうな瞳を案の定、一個すでに落としちゃってる女性が映った。 あぁなんて美しい、。 なんつってホラーじゃーんッ! 変えたいのにリモコンが動かない。電池ーー! 父さんのバカ母さんのバカ弟の大バカ物ーーーーっ‼ 変えとけって言ったよね! 何であたしがこんな目に合うかな、とりあえず引き出しを探そう。 音が入ってくる~~後ろ向いても入ってくる~~。 大丈夫これは俳優さんだ、人間(ひと)が演じてるんだから! 急ぎ電池をねじ込ん 「これは…実際に起こった」 ギャ―――――――ッ! あわててテレビを消す。 あ、明るいモノ観よう、何か楽しいモノ 「おわかりいただけただろうか…」 だよねチャンネルそのままだったもんね――――っっっ‼ さっきのアップが(まぶた)のウラにインプットされてしまった‥‥‥。 ちょっと息抜きしようと思っただけなのにな。 寝られなくなった‥‥‥テスト明日なのに。 ええぃ朝まで勉強しちゃえぃ。 あれ? なぜだか眠くなった。 眠りかけるとあのアップ。 まずい。 みんなもおんなじように勉強中(一夜漬けとも言う)だから、さすがにLINEも気が引ける‥‥‥と『!』 何というタイミング。 の真由美が連絡してきたのをに、愛らしい香菜、楽しい千夏、いつもの顔ぶれで急遽(きゅうきょ)真夜中の勉強会になった。 『ねぇ、ちょっとここ聞きたいんだけど』 『あー私こっちの教科がいいな~』 「そこのところあたしも憶えらんなくてさ~」 『おお解ったサンキュー♡』 家族が起きてこないように声のボリュームを絞りながら、結局朝を迎え、 あたし達四人はその日のテストに勝利(?)した。 帰りながら、今日もオンラインやろうか。と話が出る。みんなも昨日、夜中に勉強していて何だか怖くなってしまったのだそうだ。 「小学生の時、一人で留守番してたのね。おかんと弟が水泳教室で、父さんも仕事だからまだ帰って来ないわけ。暇だし外には行けないし、テレビ点けたら夏だから怪奇特集だし。で、つい、観ちゃったりしない?」 「わかる!」 千夏が深くうなずいた。 「そういう時、香菜はいいよねワンちゃん。真由美んとこもネコいるし。たとえ家族が泊りでどっか行っても怖くないよね」 「ん~」 香菜がちょっと考え込む。 「(うち)は外で飼ってるから。そういうことあったら、やっぱり心細いかも。そのてん真由美はいいよね。夜中のトイレにもついてきてくれそう」 「‥‥‥言っちゃっていい?」 「や、そう言われるとかえって気になるよ真由美。どした?」 千夏が身を乗り出す。 「お母さんの妹がちょっと霊感ある人でさ、私達が今の家に引っ越した時に言ったの。『お姉ちゃんとこはネコがいるからまあいっか~』って。すっごく気になるじゃない?」 あたし達三人はごくりと唾を飲み込んだ。 「何か、あった?」 「ない」 「なんだ~」 「そろって残念そうに言わないでよ~」 真由美が苦笑する。 「だからね、それもトラミのおかげかなって。確かに怖くないし、寂しくないかも」 「もしトラミが赤ちゃん産んだら、私も一匹もらおうかな」 千夏が笑って言った。 もうオンライン勉強会は決定事項で、徹夜続きは良くないだろうと時間を決め、あたし達は帰宅した。
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