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成瀬省吾
ストレッチャーに寝て、流れる天井を見ながら手術室へ向かう幼い俺···恐怖でいっぱいだった俺に母と看護師は声をかけるが頭に入ってこない。その時に頭に浮かんでいたのは死への恐怖だった。
手術室に進むと天井は色が変わり緑になる。心臓がバクバク音をたてる
笑気が鼻と口を塞ぐ。笑気とは麻酔のマスクのことだ。つけて「息を吸ってください」と言われ即麻酔が効くあれだ。
俺はすぐに意識がなくなる。
これは俺、成瀬省吾の話である。
大手術を経験した俺は高校へ進む同じ年の奴らを横目に敷かれたレールの上なんか歩いてたまるかと最初からレールに乗らなかった。高校、大学、いい会社をくそくらえと思い社会へいち早く飛び出した。それがいいのか悪いのかはさておき普通の考えの子供ではなかったのだろう。
ところで手術の事だが何の手術だったのかは秘密にしておく。今はまだ話したくないんだ。
レールに乗らずに社会へいち早く飛び出した俺は真面目に稼ぐような事はしなかった。おまけに中卒というのはまともに扱ってくれないらしい事を知った。だがレールに爆破物を置いてレールそのものを爆破した。中卒上等。適度にサボりながら仕事をこなす。そんなつまんない日々が続いていく。
20歳になった俺から物語は始まる。
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