雪の足あと

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 わたしは、真っ白な視界の中、足あとだけを頼りに歩いていた。  なぜわたしはこんなところを歩いているのだろう。  さっきまで、わたしの頭の中はもやがかかったように真っ白になっていた。  その状態から、徐々に意識がハッキリしてくると、こんどは真っ白な雪の中を歩いていたのだ。  わたしの前には、雪の中に残された足あとが続いている。  理由は分からないが、それを追わなければならない気がしている。  しばらく歩いていくと、雪の中に倒れている人を見つけた。  近寄ってみると、後頭部から血を流して、仰向けに倒れている。  近くには血まみれのバットが落ちていて、相当な力で殴られたのであろう、後頭部の傷を確認するまでもなく、飛び出した眼球とひしゃげた頭の形で既に死んでいることがわかる。  わたしは、この男の顔に見覚えがあることに気が付いた。  そうだ、最近家のリフォームの相談でちょくちょく我が家に出入りしていた業者の営業マンだ。  なかなかハンサムな好青年だったが、見る影もない。  彼の遺体の横に、彼のものと思われる人型のくぼみがあった。  もともとそっちに倒れていたのだろうか?
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