まだ見ぬキミへ

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夢か(うつつ)か。 僕はただ呆然とその様子を見ていた。 これは、当時の出来事だったのだろうか。曾祖父が戦地へと旅立ってから二年後に終戦をむかえた。 僕は手にしていたレコードを見つめ、手紙をそっとしまった。 戦地へ赴いて行く曾祖父の心は、どんなに辛いものだっただろう。平和ボケしている僕たちには、どんなに考えてもわかることはきっとないに違いない。 「惣太、元気でな」 祖父の声が聞こえた気がした。顔をあげ外へ出ると、うっすらと見えた親子の影があった。 その小さな子の後ろ姿の幻影は、どこか祖父の面影を思わせた。曾祖父が祖父を迎えに来たのだろうか。 雪の上には、大きな足あとと小さな足あとが並んで外へと向かって残されていた。 その上には雲一つない青空の中を、ひこうき雲がまっすぐにどこまでも続いていた。
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