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ふと、窓の外を見た。
カーテンの隙間から、こぼれた朝日が射し込む眩しさに目を覚まし、僕は窓の方へ手を伸ばした。
思い切りカーテンを開けると、そこは真っ白な銀世界が広がっていた。その鮮やかな白さに目が眩んで思わず睫毛を伏せた。
昨日の深夜から雪がちらつき始め、朝方まで降っていたのだろう。冬暁の空は透き通るようなほど美しく、空気は息をするのも痛いほどとても澄み冷え込んでいた。
静か過ぎて、耳がキーンとする。
世界中が停止しているみたいだ。
光が反射して初めはよく見えなかったが、新雪の上に、ゲートルのような足あとが見えた。こんな朝早く誰が通ったのだろうか。
足あとを目で辿ると、家の庭の離れにある裏の倉庫まで続いていた。そこは昔母屋だった場所だ。僕は導かれるように、不思議とその足あとが気になってしかたなかった。
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