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「災難だったな……。だが、慰めてやっている暇はない。今は一刻も早く列車を動かすぞ。ついて来い」
ついて来いという言葉の意味が分からない程、和也はもう新米ではない。背筋がゾクリとし「はい」と大きい声を出したはずの返事は干上がっていた。
神田からヘルメットを一つ受け取り、共に列車の先頭に向かって走る。この時、ホームの騒然さはピークとなっていた。至る所から「やばい」や「撥ねた」「見ちゃった」などの声が聞こえ、突き刺さるような視線を感じる。
和也はそんな視線から逃れるようにして、初めて線路の上に降り立った。
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