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再会~界人~
東京のキャンパスで専門科目の授業が始まって1ヶ月経った。
瑞基とキャンパス内を歩いていると、数人の女子に囲まれながら談笑している男性が向かいから歩いてきた。
楽しいキャンパスライフそのものだな~と思いながら、何気なくその男性を見た。
「界人?どうした?」
「瑞基、ごめん」
あわてて、立ち去ろうとしたが遅かった
「界人!界人だろ!!」
一緒にいた女子に「わるい」と、手で制止して近づいてくる。
「この大学だったんだ!もう3年になるのに、今まで会わなかったなんで、いくら何でも不思議だよな」
「和史・・・・」
隣にいる瑞基の肩がピクリとなる。
「界人・・もしかして・・」
「ああ・・」それだけで瑞基は、この男性が俺の初恋の相手だと気づいた。
「ちょっと話をできるかな?」
心配そうな瑞基に「大丈夫」と言って、和史と二人で歩き出した。
キャンパスの隣には公園があり、そこまで二人で歩いた。
「いままで、どうして構内で会うことが無かったんだ?」
「北海道の教養学部にいたから・・・この春からこっちになったんだ」
「あのあと、北海道に行ったんだ」
「うん」
「携帯番号も変わったよね?」
「うん」
「どうして、教えてくれなかったんだ?」
「・・・・・・」
「おれ・・さ、界人に好きって言われて、びっくりしすぎて固まったんだ」
「いや、あれはもう、忘れていいよ。悪かったよ」
「そうじゃなくて、驚いたけどうれしかった。“次の日”があると思っていたから、翌日返事をしようと思ったんだ。だけど・・・・“次の日”はなかった。」
「・・・・・」
「担任が、界人は転校したとだけ聞かされた」
「そのあと、すぐにLINEも電話もしたけど、つながらなくてずっと後悔してた」
「ごめん・・・」
「あの日の告白ってまだ有効?」
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