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「お前に似てるだろ。やるよ。誕生日のプレゼントだ」
ハリネズミを手にしたまま、僕は後藤の腕の中でくるりと振り向いた。
「これ……お前が買ったのか?」
ぬいぐるみ売り場でこんな可愛いものを物色している後藤の姿を思い浮かべる。僕の唇が笑いをこらえてひくひくと痙攣した。
「ネット通販で本とDVDと消耗品以外のものを初めて買った」
憮然とした顔で後藤が言う。
「わざわざ?」
僕のために?
後藤は、困ったように自分の短い髪をがしがしと掻きむしった。
「お前の代わりにベッドサイドに置いときゃ、多少は寂しくないかと思ったんだよ」
口をへの字にしている後藤をぽかんと見上げていたら、ハリネズミごと、ぐいと身体を引き寄せられた。
「でも、ぬいぐるみじゃなくて本物が手に入ったからな」
吹き込まれる声の甘さに耳をとろかされそうになって、僕は目を伏せる。
「そいつはお前のハリーの相棒にしてやれ。そうすれば、俺がお前を独り占めしても寂しがらないだろ」
「独り占めとか、勝手に決めるな」
なるべく不本意そうな声を作りながらも、僕は想像していた。
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