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慎 二
救急車はけたたましいサイレンを鳴らしながら国道を突っ走り、一直線で近くの救急病院に向かった。僕はおじさんの横でじっとその顔を見つめていた。
登校の時、僕が挨拶をするといつも笑顔で大きな挨拶を返してくれた。小学生の時は一緒にキャンプに出掛けて、カブトムシやクワガタを採ってくれた。ストレッチャーに横たわるおじさんに、その頃の面影は微塵もなかった。
救急車内にあるモニターにはおじさんの心電図が映し出されていた。見ても何がなんだか分からなかったが、ひとまず心臓は動いており、呼吸は止めていないことは分かった。しかし意識は依然失ったままだ。
僕は声にならない声を上げて、おじさんの様子を見ていた。今は痛がる様子もなく、眠っているかのように見えた。
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