左がダメなら

腕

　夏休みは、受験生にとってあって無いようなものだ。この日もほぼ1日模試があり、その後、その解説と復習がある。

　勉強は嫌いではないが、それは彼女がいた頃の話。すっかり意気消沈した僕は、勉強に身が入らないまま、今日の模試を受けた。

　当然結果は散々。放課後、先生から呼び出され、見事な叱咤激励を受けた。勉強しか取り柄のない僕にとって、模試での点数が下がると羽をもがれた鳥と同然。僕は失恋を思いっきり引きずっていた。

　先生からの指導が終わり、くたくたになった心身を引きずって駐輪場に行く。あー今日も全然ダメだった。重たい足を引きずって駐輪場に着いた次の瞬間、工事中の講堂から空気を裂くような大きな音がした。