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 救急車は正門から入り、すぐに現場である講堂に向かって来た。それを見て、更に多くの生徒が講堂に押し寄せてきた。現場は更に騒然となった。  救急車から救急隊員が下りると、即座に講堂内へと入った。応急処置をしているのだろう。大声で何かを叫んでいる。その大声に反応して、すぐにストレッチャーが運び込まれた。  僕らは固唾を飲んで見守っていた。半分は好奇心もあったかもしれない。ただ、怪我人が誰なのか。僕はそればかり気にしていた。  救急隊員数名が怪我人をストレッチャーに乗せ、現場から出てきた。怪我人に衝撃を与えないように慎重にストレッチャーを押している。布に包まれた怪我人はピクリとも動かず、ぐったりしているのが分かった。しかし顔が見えない。僕は嫌な予感がしてならなかった。
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