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怪我をした人が数名の作業員と共に救急車に乗り込むとき、一瞬だけチラリとその顔が見えた。僕の予感は的中した。
「おじさん!」
僕は声を発していた。と同時に、一目散におじさんの元へ駆けていた。
おじさんは意識を失っていた。身体の大半は毛布で包まれていたものの、作業着や首筋に凄まじい血痕がついているのが分かった。怪我をしたのは、どうやら左腕のようだ。
「知り合いかい?」
救急隊員の1人から声を掛けられた。僕はおじさんとの関係を伝えた。
「わかった。一緒に来てくれるかい?今から救急病院に向かうから」
僕はその救急隊員に連れられ、救急車に乗り込んだ。救急車の中で静かに横たわるおじさんに向かって、僕は何度も声を掛けた。しかしおじさんは目を閉じたまま、動くことはなかった。
僕とおじさん、そして数名の作業員を乗せた救急車は、再びサイレンを上げながら学校を後にした。
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