突然のメール

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突然のメール

彼は大切な人だった。でも、もうこの世にはいない。 今でも信じられないままだけど、現実を受け止めざるを得なかった。 彼がいなくなってから、世界は色が抜けたように見えていた。 何もかも失ってしまったんだと、この世界はつらい現実を突き付けてくる。 私は、何もかも嫌になって、苦しくて、つらい思いをした。 こんな時に励ましてくれた君はもういない。 どのくらい泣き続けていていたのだろうか、あたりはあっという間に暗くなり、夜になった。 何気なくスマホを見つめる。何もしたくない。もういっそ死んでしまいたいと、心の奥底から思えてきた。 その時だった。スマホが震えると同時に、あまり聞いたことのない着信音が鳴り響いた。 「何よ…こんな時間に…」 スマホをとる。メールの内容は、職場の上司からだった。 ーーー「お気の毒だったね。明日は仕事に来れそうかい?」 こんなになれなれしくメール送るなっての。 そう思いながらも、取り合えず返信する。 ーーー「何とかこれそうです。ご心配をおかけしました。」 返信後に、またスマホの着信音が鳴った。そこには信じがたい内容が書いてあった。 ーーー「悲しまないで。君の横に俺はいるから。」 私はこのメールの意味が分からなかった。 なぜなら… 死んだ彼からの、届くはずのないメールだったから。
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