君の死亡が理解できたら pt.2

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恐る恐る電話に出た。 震えた声で一言 「もしもし?松下さん、だっけ」 僕、マジで最低だ。 松下さんから電話がかかってきてるのはわかってるのに、なんでだっけなんか言うんだ。 嫌われた。 だけどそんな僕耳に入ってきたのは明るい声だった 「覚えててくれたんだね!朝早くだけど既読ついてたから、電話かけちゃった!」 裏表のない、はっきりした口調で話しかけられる。 いや、話し方より僕がなんて答えるかだ。 どうしよう。 なんと答えよう。 だめだ。何も思いつかない。 「あ、うん。そうなんだ。ごめん僕忙しいから。」 精一杯喉に力を入れて出した言葉だった。 忙しくなんかない。 もっと話したい 素っ気なく話して気を引きたい訳では無かった 慌てて訂正する言葉を考えた。 「ごめん。やっぱり忙しくない。」 側から見ておかしいだろ。 明らかに矛盾してる。 でもそれ以外何か言うことがあるか? 「そっか。ごめんね!次たくさん話そ!」 電話越しでも分かる相手の困惑感。 やってしまった。 切ってしまった。 ずっと望んでいたチャンスを自ら捨てた。 なんで僕はこんなん何だろうか。 今までうるさい陽キャたちにたくさん不満を抱いていたが、僕にそんな資格なかったようだ。 変われない。 人間失格だと自覚していたはずなのに、少しでも両思いであれと願ってしまっていた。 情けないな。僕。 どれだけ願っても、どれだけ変わっても、ないものねだりでしかない。
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