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愛美がいない
周りをよくみなさい。パパの声が愛美の耳を通り過ぎていく。
目の前にあの女の子が立っていたからだ。
よく愛美の家に遊びにくる。そしてさっき池にいた子。女の子は片方しか長靴を履いていない。
「愛美ちゃん。あそぼ」
女の子は笑顔で言う。
「うん。いいよ」
女の子は愛美の返事を聞くと、背を向けて自動ドアのほうに向かって駆け出した。
「わぁ」
あわてて愛美も追いかける。女の子は片方しか履いていない長靴をブカブカさせながら器用に走る。長靴からは大量の水が溢れている。水溜まりのような足あとがビチャビチャと撥ねた。
待って。背中のほうでパパの声が聞こえた気がした。
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